面接ではハロー効果(高学歴者や有名企業出身者を無意識に良いと感じ、評価が歪められる)、類似性効果(自分と似ている価値観や性格の人に対して共感や好意を抱きやすい)、確証性バイアス(自分の都合の良い情報ばかりを集めてしまう)など、面接官による、多くの主観やバイアスが発生しています。
その結果、ある面接官で評価が高かった候補者でも他の面接官では評価が低いなど、面接官の評価のバラつきが発生してしまいます。
このような評価のバラつきを排除するために有効な手法として、構造化面接が挙げられます。
構造化面接とは、自社の採用・評価基準を明確にした上で、事前に取り決めた質問を候補者に問うことで、客観的事実を確認していく面接手法のことです。
RyanとTippinsの研究論文(2004)によると、構造化面接は、非構造化面接に比べて、入社後のパフォーマンスとの相関関係が強く、よりパフォーマンスを予測できる面接手法だと述べています。
つまり構造化面接を活用すれば、採用での失敗を防ぐことができます。
下記は、非構造化面接と構造化面接の具体的な特徴を表にまとめています。
構造化面接では、面接官の主観が入る余地が少なく、結果の客観性が高くなるメリットがあります。しかし、あらかじめ定められた質問への答え以上の情報は得られないため、確認的機能しか持たず、候補者の新たな側面の発見などが難しいというデメリットがあります。
また候補者側からすると、尋問のような感覚を受けることもあり、場合によっては、企業に対してネガティブなイメージを頂いてしまう可能性があります。
構造化面接の質問の設計や評価について、役に立つ2つのモデルを以下ご紹介します。
STARモデルは、候補者の言動を整理し過去の出来事を評定する手法です。候補者の回答をSTARの頭文字となっている「S:状況(Situation)」「T:課題(Task)」「A:行動(Action)」(R:結果(Result)」の4カテゴリーに分類することで、候補者の行動特性や思考特性を、把握することができます。
例えば、実際に過去に経験した特定の状況に対して、どのような課題に取り組んだのか、どのような行動を取ったのか、どのような結果を収めたのか候補者の回答を確認します。回答結果から、行動の一貫性や、正しく課題を把握していたかどうか、行動が能動的かどうか評価し、論理的思考力や行動特性を評価していきます。
コンピテンシーモデルは各職種に応じて、ハイパフォーマーに共通する行動特性や思考特性をまとめたものです。
このコンピテンシーモデルを活用し、候補者の過去の成果をみることにより、その人が未来に成果を生み出すであろう可能性を評価することができます。
コンピテンシーでは、実際に候補者が過去に取ったきた行動のレベル感を評価していきます。例えば、指示を受けて受動的(レベル1)に行動したのか、明確な理由をもとに能動的(レベル3)に行動したのか、状況を変化させようと創造的(レベル4)に行動したのか、これらのレベルをもとに評価することで、自社において必要な人材かどうか確認することができます。
STARモデルやコンピテンシーモデルを組み合わせて、構造化面接の質問内容や評価の基準を作ることできます。
構造化面接を自社の選考の中で取り入れることで、自社に必要な候補者を見抜くことができるでしょう。