パナソニックを創業した松下幸之助、HONDAを創業した本田宗一郎、ソフトバンクの孫正義氏など世界的にも知名度の高い偉大な経営者がいる中、 世の中には従業員数名〜数十名程度の中小企業の経営者も多く存在します。
自ら起業して経営者になった人もいれば、社員から経営者まで昇りつめた人、2代目として事業を承継した人など経営者としてのバックグランドも様々です。
会社の規模や業種、バックグランドに関わらず、経営者は不確かな市場の中でリスクを取り、従業員の生活を守りながら、常に前進している人たちです。
今回はそんな経営者がどのような性格で、どのような資質を持っているのか、適性検査のデータを用いて考察してみました。
ビックファイブとは外向性、協調性、良識性(誠実性)、情緒安定性(情動性)、知的好奇心(開放性)の5つの因子の強弱、組み合わせにより、人の性格を表すことができる理論です。
ビックファイブは現在、心理学や精神医学の中で最も信頼できる理論の一つです。
適性検査INOBERではビックファイブ理論を応用しパーソナリティを示すよう設計されています。
2017年に正式リリース後、適性検査INOBERを受験した42名の経営者をもとに分析してみました。業種の内訳は以下になります。
下記のグラフは今回分析した経営者の性格特性(ビックファイブ)の平均値です。
得点は偏差値で表しているため、50点が平均になります。経営者の性格特性を分析すると下記のような特徴であることがわかりました。
平均よりも高い因子:外向性、情緒安定性、知的好奇心
平均よりもやや高い因子:協調性
平均よりもやや低い因子:良識性(誠実性)
経営者は、仕事を獲得する営業スキルと、組織内でメンバーをまとめるリーダーシップが必要になります。そのため、経営者は積極的に人とコミニェーションを図ることができる外向性が高いと思われます。
報酬に対して敏感である、人や組織に対して、影響力を求めることも外向性が高い要因だと考えられます。
自ら事業を立ち上げる人は、不確実性が高い中リスクを取りながら事業を始めなければなりません。そのため、情緒安定性高くないと精神的にも事業を継続するのは難しいと思います。つまり、メンタルが強くないと経営者には向かないと言えます。
一方で情緒安定性が高いことは、リスクを低く考えてしまい、無謀な行動に走りやすいというデメリットもあります。
EganとMacによる研究によると、エベレストに登る登山家は一般的な人と比べると情緒安定性が顕著に高い結果であることがわかりました。常に死の危険と隣り合わせの登山家は、過度な楽観主義を持っていることがわかります。
知的好奇心(開放性)とは新しいものを進んで取り入れる、創造力がある、美やデザインに興味が傾向を表す因子です。
知的好奇心が低い人は、世間の流行にあまり興味がなく、極めて現実的に物事を見る傾向を持っています。
知的好奇心が高いことから、経営者は新しいものが好きで、創造意欲が強い傾向があることがわかります。
良識性(誠実性)とは真面目さや計画性、粘り強さを示す因子です。良識性が高い人の特徴は、時間通り、計画的に物事を進められる。細かい点まで目が届き、完璧さを求めるなどが挙げられます。
経営者のパーソナリティの中で良識性が最も低かった理由を以下記載いたします。
①機会をとらえるためには、熟考してから行動するよりも、すぐに行動することが求められる。
②経営をするの中で、曖昧さが多く、柔軟性が求められる。
③マルチタスクに対応しなければならず、臨機応変さが求められる
慶應義塾大学商学部教授 鶴光太郎氏の著書「性格スキル 人生を決める5つの能力」 では、良識性(誠実性)が最も重要だと記載されています。しかしあくまでも良識性はホワイトカラーの職種で重要であり、経営者やイノベーション人材ではそれほど重要ではない因子であることがわかります。
イノベーション人材の考察に関しては下記の記事も参考にしてください
経営者のパーソナリティ(ビックファイブ)の中で良識性が低い結果となったのは、今回の分析の中で意外な発見でした。
なぜならば、良識性(誠実性)はビックファイブの中で最も仕事のパフォーマンスと相関する因子だと言われているからです。
自ら会社を立ち上げた創業経営者、2代目経営者、サラリーマン経営者など細かく分類することで、新たな発見があるかもしれません。
引き続き、データを蓄積しながら、分析を進めてまいります。
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