次世代の組織として「ティール組織」が注目されています。
ティール組織とは、一言で表すとと、「組織の存在目的に従って臨機応変に進化していく組織」のことです。
ティール組織では、自主経営(セルフマネジメント)を取り入れているため上下関係、売り上げ目標、予算がありません。つまり、大幅な権限移譲をしているため、上司部下の関係がなく各組織や個人に目標(売上など)や予算を任せています。
ティール組織が注目されている理由として下記の3つが要因であると考えています。
①従来の組織形態の中で多くの人が疲弊している
②早いスピードで市場が変化しているため従来の組織形態では生き残ることができない。
②物質的に豊かになった環境の中で、働く人の価値観が大きく変化している。(マズローの5段階の欲求の中でより上位の「自己実現の欲求」に近づきつつある)
組織モデルは、人類が文明を持ち始めた時期(約8,000年前)から現在まで、下記の図のように発達してきました。
現在のほとんどの企業は、約200年前に現れた達成型(オレンジ)組織の形態をしています。
達成型組織では、自社の拡大と生き残りを目標とし、中央集権的な組織構造を持っています。効率的に資源(ヒト、モノ、カネ)を活用することに長け、イノベーションを起こすことで、過去2世紀の間、莫大な富を生み出してきました。
しかし、経営の効率化や行き過ぎたイノベーションにより、様々な副作用が発生しています。
他社との競争や社内での熾烈なポジションを獲得する競争は、常に働いている人に恐怖を与えています。企業は、「市場で負けたら倒産してしまう恐怖」や「株主からのプレッシャー」により常に成長を目指さなければなりません。
また組織内では「結果を出さなければ上司に怒られる」、「出世競争で負けてしまう」など恐れによる過度なプレッシャーを感じてしまい、健康を害しても猛烈に働かなければならない状況になります。
その結果、従業員の過労死や不正会計、情報の隠蔽など様々な不祥事が発生してします。
権限が集中することで、様々な管理労力やストレスが上下双方にかかることになります。組織の権力のトップであるCEOは常に会議に追われ、意思決定の過多でストレスを抱え込んでしまいます。
中間管理職であるミドルマネージャーの負担も大きく、チームの目標達成と部下の成長を両方見なければならず、精神的に追い込まれてしまいます。
また、社内政治、根回し、不必要な会議など非生産的な活動でエネルギーを消耗してしまい、最も重要である顧客との対話や創造的な活動が阻害される要因となります。
従業員は、業績を向上させるため、仕事で必要な能力のみ発揮し、それ以外の個人の個性を封じてしまい、本来持っている能力を発揮することができません。
結果、仮面をつけて毎日仕事をすることになり、組織の中での自分と、本来の自分のギャップが大きくなればなるほど、そのギャップに苦しむことになります。
オレンジ組織では、まずは目標(売上・利益、市場シェアなど)を掲げて、その目標に合わせて組織を構築していきます。利益を追求するため、徹底した合理化、効率化が必要となり、組織で働く人の感情や人間関係をあまり重視しません。
組織のメンバーは、MBO(目標管理制度)によって期ごとに定量的、相対的に評価されるため、上司から高い評価を得て出世競争に勝ち残ることが大きな関心事になります。
一方、ティール組織では、一人一人の強みを活かし、組織の存在目的にコミットして主体的、分権的に行動していくのが特徴です。
社内の情報はほとんど全て共有され、上司部下などの役職もなく、各自が権限を持ちながら仕事をすることができます。売上目標に沿った行動計画が無く、「どの方向性に向かうのか」を全員で共有、知恵を出しながら目的までも柔軟に変化させながら 結果を求めていきます。
一人一人の評価も全員の話し合いで決め、個人の報酬も自分で決めることができ、メンバー同士の足の引っ張り合いが無く、常にメンバーの協力を得ることができます。
人材採用や予算管理等も各チームに権限を移譲しているため、人事や財務経理など管理部門が存在しないのも、ティール組織の特徴です。
フレデリック・ラルーの「ティール組織」では、幾つかの事例をあげながら、ティール組織の成功事例について記載しています。
例えば、オランダを拠点とし、訪問看護サービスを提供するビュートゾルフでは、ティール組織の機能を取り入れたところ、7年間で従業員が10名⇨7,000名に拡大しています。
他にも従業員数十名から数万人まで、様々な規模・業種の企業でティール組織を実現し、売上・利益の拡大、従業員の離職率の低下などの成功事例があげられています。
ティール組織を実現させるためには、まず組織の上位にいる役職者が人や組織を真の意味で信頼し、管理・コントロールしたいという欲求を手放すことが必要になります。
また、自主的に働くことができる仕組みや、組織の存在目的を考える必要があります。
フレデリック・ラルーの「ティール組織」では、一部の機能を組織で取り入れたり、何度も繰り返して改善をする中で、各組織の型が決まってくると述べています。
また、既に歴史をもち、しがらみのある企業にティール組織を導入するよりも、スタートアップのような比較的新しい企業の方が、ティール組織の立ち上げが容易であると述べています。