【従業員エンゲージメントを考える】従業員満足度調査がうまくいかない理由

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従業員満足と企業業績はあまり関連がない

多くの企業でES調査(従業員満足度)が実施されていますが、従業員満足度が向上したからといって、企業の業績が上がったり、従業員の離職率が下がったりしているのでしょうか。

ギャラップやタワーズワトソンなどの調査会社が長年企業の依頼を受けて、従業員満足度調査を実施していますが、従業員満足と業績とは関連性がないことが明らかになっています。

また、学術的な研究でも、従業員満足と業務のパフォーマンスに対して、あまり相関がないことが明らかになっています。

Iaffaldano & Muchinsky (1985)の 職務満足とパフォーマンスとの関連を調査した研究では、従業員の満足度とパフォーマンスでは0.17しか相関が無いことがわかりました。

また、Judge, Thoresen, & Bono(2001)のメタ分析を行った研究でも、 相関係数は0.3しかありませんでした。

従業員満足度調査を実施してもうまくいかない理由

ではなぜ、従業員満足度調査がうまくいかないのでしょうか?以下のような要因が考えられます。

・ 従業員満足度調査が社内で形骸化している

・ 改善項目が衛生要因に偏ってしまう

従業員満足度調査が社内で形骸化している

従業員満足度調査を毎年実施してはいるが、具体的に何を改善するために施策を打ち、どの項目が改善しているのか経年変化をウオッチせず、社内で形骸化している ケースが多くあります。

上記のような状況になってしまうのは、企業側が真剣に従業員満足度調査の実施と改善に力を入れていないからです。毎年同じような質問内容をとりあえず、社内で実施しただけで終わってしまっています。

社員もそのことを認知しているので、とりあえず、当たり障りの内容で回答し、従業員満足度調査に関してほとんど関心がありません。

従業員満足度調査の結果を毎回社員にフィードバックし、どの項目を重点的に改善を行っていくのか示し、経年変化を見ていかないと、実施する意味はほとんどありません。

改善項目が衛生要因である

従業員満足度調査を社内で実施し、改善項目を明らかにしても、それが衛生要因の場合は、注意が必要です。

衛生要因とは、アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが唱えたモチベーション理論の一つで、仕事上の不満足要因のことを言います。

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不満足要因とは「労働環境」「給与」「福利厚生」「人間関係」などです。これらを衛生要因としています。

ハーズバーグの衛生・動機づけ理論では、これらの衛生要因をいくら改善しても、不満足を解消するだけで、満足感が高まるわけではないと提唱しています。

「労働環境を良くするために都心の綺麗なオフィスに移転をする」、「福利厚生を充実させる」、「人間関係を良くするため、社内イベントを頻繁に開催する」 これらの衛生要因の改善は、企業のコスト負担を増やし、業績を圧迫する要因となってしまいます。

一方、動機づけ要因とは「仕事そのもの」「承認」「自身の成長」「昇進や責任」などです。

ハーズバーグの衛生・動機づけ理論では、動機づけ要因は、不満足を引き起こすことがなく、満足感を高めることができると説明しています。

従業員満足度調査から従業員エンゲージメントへ

従業員エンゲージメントが注目されている

BSC DESIGNER社の調査では、従業員エンゲージメントが高い企業は低い企業に比べて、生産性が21%以上高く、利益率が22%高い結果となりました。

また、冒頭のギャラップやタワーズワトソンの調査でも、従業員満足度よりも従業員エンゲージメントを調査したところ、 エンゲージメントのスコアと業績に相関関係があることが明らかになっています。

従業員満足度調査は、従業員側から見た満足度を一方向から測定したものです。

一方、従業員エンゲージメントでは組織と従業員の関係性を双方向的に捉えるものです。

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従業員エンゲージメントとは、「企業(組織)のサポートを受けながら、従業員が企業のビジョンや文化を理解・共感し、熱意を持ち、主体的な行動をする意欲」のことです。

企業と従業員の関係性を測り、従業員が自発的に行動できているのか把握することが重要になります。

従業員満足度調査よりも、従業員エンゲージメントを測る方が企業にとっても従業員にとってもメリットが高いことがわかります。

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