【インタビュー vol.2】人事とデータ分析を考える -データサイエンティストとのコラボで会社を強くする-

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近年ピープル・アナリティクスと言うワードを良く耳にしますが、そもそも人事におけるデータ分析はどのように行われ、社内で活用しているのか分からないことも多いと思います。

そこで、人事分野のデータサイエンティストとして多くの案件に携わってこられた、株式会社Rejoui 代表取締役 菅 由紀子さんに、人事のデータ分析について伺ってきました。

菅さんは、中央大学卒業後、株式会社サイバーエージェントへ入社。リサーチ事業の立ち上げに伴い、マーケティングリサーチャーとして活躍された後、創業時の株式会社ALBERTに参画され、データサイエンティストとしてビックデータの解析からレコメンドエンジンの開発まで幅広い案件に関わってこられています。

2016年9月に株式会社Rejouiを設立。同社代表取締役をつとめながら関西学院大学大学院ビジネススクールにおいてマーケティングリサーチ・データ分析を教えています。

人事データは企業にとって宝の山

ー 人事業務の中でデータの活用は広がっているでしょうか?

前職のALBERTでは、主にマーケティング分野を中心にデータ分析、コンサルティングをしていました。他にもレコメンドエンジンの開発や飲食店の需要予測なども手がけてました。

マーケティングなど売上に直結する部門では、データ分析担当が専任で居たり、外部のデータサイエンティストに依頼して分析するなど、蓄積されたデータの活用が進んでいます。

しかし、人事などの管理部門では、言わば攻めるよりも守る姿勢の部署であるため、これまで人事のデータを活用して事業に活かすという発想はなかったように思います。

人手不足や働きかた改革への対応が声高に叫ばれる昨今、徐々に人事のデータを活用する企業が増えています。将来的には、人事データを活用する企業と活用しない企業とでは、競争優位性にかなりの差が現れると思っています。

ー 人事のデータ分析はどのような場面で活きるのですか?

弊社ではこれまで、様々な人事のデータ分析を行ってきました。

例えば、退職者やメンタル疾患の罹患者の予兆を掴むために、勤怠データや適性診断のデータを分析し、活用した事例があります。

メンタルに問題がある場合は、特徴的な傾向があり、それを事前に把握することで、人事が事前に対応策を講じることができるようになります。

従業員の配置の最適化や企業とのエンゲージメントを高めたいというニーズも多いです。採用から配置、メンタルヘルスやリテンションマネジメントなど様々な場面でデータの活用は可能です。

最近では、HRTechツールも世の中に多くあり、これらを上手く利用することで、効率よく社内のデータを集め、統合して分析することができるようになってきました。まずデータを取っておこう、データ化しようという意識も高まってきたように感じます。

データサイエンティストとの関わり方

ー 人事のデータ分析をするにあたり、まず何から始めれば良いでしょうか?

解決したい課題を明確にすることが重要です。「イシューからはじめる」という言葉がありますが、人事のデータ分析でも「解決したい課題は何か?」を明確にする必要があります。

課題が明確になっていないと、どのようなデータを集め、どのような分析手法を用いるのか決めることができません。

弊社も「こんなデータがありますが、何かできませんか?」というご相談を受けけることがしばしばありますが、そのようなケースでは、担当者の方と一緒に現状認識からはじめ、課題を抽出したうえで「データ分析によって何を明らかにするのか」決めるフェーズを設けています。

その後、必要となるデータは何か見極め、社内でデータを集めていただき、分析のアプローチ、分析手法を考えていきます。

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ー 確かにデータ分析を外注して失敗するケースはよくありますね。外部のデータサイエンティストに依頼する際に気をつけておくべきポイントはありますか?

人事部門の方が外部のデータサイエンティストに分析を依頼する際に気をつけていただきたいのは以下の3点です。

1点目はデータの取り扱いポリシーを予め明確にしておくことです。

人事のデータは機密情報であり、社外へは一切持ち出しができないケースが多くあります。そのようなケースでは、データサイエンティストが自社内に来て分析するわけですが、どこまで開示するのかは予めポリシーとして決めておくと良いと思います。

分析をお願いする段階になって開示できるか否かの判断をするのは時間が勿体無いです。また、どうしても開示できないデータがある場合は、それが無いことによる制約も把握しておきたいところです。

2点目は発注側も基礎的な統計学の知識と論理的思考力を有しておくべきということです。

基礎的な統計学の知識があれば、データサイエンティストとスムーズにコミュニケーションが図れます。相関などの基本的な知識だけでも抑えておきたいですね。

また、事前の課題整理や分析結果についての議論を行う際に論理的なアプローチができなければ、前述の例のように意味のない結果になりかねません。

統計学の基本的な知識と論理思考、この2つについては人事に限った話ではなく、これからのビジネスパーソンにとって不可欠なスキルであるといえます。

3点目はデータサイエンティストと密にコミュニケーションを図ることです。

データによっては有意な結果が出てこないこともあり、その都度分析の手法を変更したり、新たに他のデータを集めていただく必要が生じます。その必要が生じた段階でデータサイエンティストと適切なコミュニケーションが取れていればよいのですが、お願いしたからと安心していると納期のタイミングで期待に沿わない結果になりかねません。

分析結果について討議する場であったのに、新たにデータを手配してくださいと言われる場になってしまうのでは効率的ではありませんし、手間ばかり増えてしまいます。データサイエンティスト側も、データを受け取り、ある程度の確認を終えると依頼主に質問したいことが山のように出てくるはずなのです。

分からないことは何でも聞いてくださいねと伝え、不明点はないか定期的にコンタクトをとり、任せきりにしないことを心がけていただければ良いと思います。

ー データ分析を依頼する側も、どうデータサイエンティストと関わっていくのかの姿勢が大事なんですね

そうなんです。私たちはデータの持つ力を解き放ち、依頼主にとって価値あることを提供するため、全力でサポートさせていただきます。そのために依頼主の方にとって必要なことは先程お話したとおりです。それらを抑えていただき、是非、データサイエンティストを有効に活用して欲しいですね。

株式会社Rejouiの菅さん、本日はお時間いただき、ありがとうございました。

社名 株式会社Rejoui
事業内容 人事のデータ分析・コンサルティング事業
統計・データマインイング教育事業
学習アプリの開発・販売
設立 2016年9月
URL http://rejoui.co.jp/
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