2018年9月経団連の中西会長が新卒就活ルールの廃止を決定し、2021年以降、実質ルールなしで就職活動を開始することになります。
もともと、経団連加盟企業ではないベンチャーや外資系はそもそもルールはなしで、また経団連加盟企業でも、新卒解禁前に、内々定を出すなど早期に学生を囲いこみ、実質形骸化していたなどの問題もあります。
しかし、新卒採用ルールの廃止から新卒一括採用の見直しまで議論が進めば、日本の雇用形態が大きく変わるのではないかと思っています。
就活一括採用とは、就職を控えた大学4年生に対して、大学を卒業する前に、就職を決定してもらい、企業が大量の労働者を囲い込める制度です。
最大のデメリットは、本来学業をしなければならない時期に就活をしなければならず、学生にとって学業に支障がでることです。
日本は、終戦後、朝鮮戦争を経て奇跡的な経済復興を成し遂げることができました。
戦前からの技術力と工業力、ベビーブーム(団塊の世代)など複合的な要因により世界第2位の経済大国まで成長します。
企業は生産力を上げるため、労働力を市場から大量に吸収できるよう、新卒一括採用を確立します。
※新卒一括採用の慣習は戦前にもあったが、本格的に確立したのは戦後である。企業は、自社の中で人材を囲い込むため、終身雇用を前提とした年功序列により、新卒で採用した社員の生活を定年まで面倒を見るようになります。
企業側は、安定的に均一な労働力を確保することで、競争力があり質の高い製品(主に工業製品)を大量に生産し、世界に供給することができた。
労働者は、給与や衣食住を保証してもらうことで、ライフプランが立てやすく、安心して家庭を築くことができた。
国(政府)は、若者の失業問題に悩まされることなく、長期安定政権を築くことができた。
このように、経済が成長し、人口が増加していた日本では、「新卒一括採用」、「年功序列」、「終身雇用」が上手く機能し、企業、労働者、国の三方良しの状態が成立します。
1980年後半のバブル崩壊後、失われた20年に突入します。デフレ経済による不況により、大卒の就職率が55%になるなど、就職氷河期が訪れます。
この期間にグローバル化が進み、労働力の安い地域(中国・東南アジア)に生産拠点が移転しました。また、IT革命によりアナログからデジタルに経済の主役が移ってきます。
企業は、グルーバル化やIT化により、世界規模で人材を獲得する必要があり、外資系企業やベンチャー企業との人材争奪において、横並びでの採用ルールでは優秀な学生を獲得できなくなりました。
リクルートのように、20代であればいつでも応募できる通年採用に移行する企業も増えてきた
新卒一括採用:世界中から優秀な人材を採用する必要があり、新卒一括採用の協定は不利になる。画一的な人材はイノベーションが生まれない
年功序列:若い人の給与が抑えられ、優秀な人を採用できない。採用できたとしても、より条件の良い会社へ転職してしまう。
終身雇用:会社の寿命が労働者の仕事人生よりも短くなり困難